2006年 F1 TV観戦記 チーム総観 |
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2006年の各チームを振り返ってみましょう。 ルノー 去年に続いて今年もコンストラクターズ1位でした。 安定して速かった事が大きな勝因で、シーズン途中でのマスダンパーの廃止によるラップタイムの回復の速さ、シーズン後半のミシュランタイヤの戦闘力低下を 十分補えるだけのマシンの素性の良さが光りました。 マシン的にも去年以上にトラブルが少なかったようです。 今年は去年よりフィジケラの獲得ポイントが上がったおかげでフェラーリとの接戦を制してコンストラクターズタイトルを獲得。 そのマシンの安定感のおかげでアロンソもドライバーズタイトル獲得と2年連続でシリーズ完全制覇しました。 空力やエンジンなどマシン自体だけでなく、ランチコトロールやトラクションコントロールといった電子デバイスがライバルよりも優れている所が強みだったよ うです。 それにしてもドライバーとして評価が高かったフィジケラが2年経ってもアロンソにまったくついていけない点から見てもアロンソの速さは本物です。 しかし、チーム監督のフラビオ・ブリアトーレは、良いドライバーを見つけるのは得意なようですが、長い付き合いにはならないようです。 マクラーレン・メルセデス 今年もトラブル続きの上にシーズン前のチーフデザイナー離脱の影響か、マシンの開発スピードも鈍く、コンストラクターズ3位に終わりました。 ドライバーについてもシーズン途中でモントーヤ離脱とトップチームらしからぬドタバタもありました。 それでもコンストラクターズポイントで3位につけているのはチームの総合力を証明しているようです。 しかしコンストラクターズ5位に沈んだ2004年にも有った優勝回数は、今年は0回。 このあたりが、速くも無く、トラブルも多目と言う半端なシーズンを象徴しているようでした。 伝統のあるイギリスチームの為か考え方が古めで、個性的なドライバーを使いこなすのが下手なのかもしれません。 フェラーリ シリーズ中盤からルノーを追いかけるも、終盤の失速でコンストラクターズ2位に終わりました。 マシンの開発スピードやタイヤの性能ではライバルを凌駕していたものの、初期のトラブルとタイヤとのマッチング問題で出遅れ、終盤のマシントラブルが影響 が大きく、コンストラクターズ・ドライバーズとも2位止まりでした。 今年最速ともいえるマシンでしたが、近年のフェラーリらしからぬトラブルでのリタイアの影響が大きすぎました。 ミハエルの引退発表の影響か、チーム全体が浮き足立ってしまったような感じでした。 タイヤに関して、他チームより上手く使えていたのは、長年の協力関係の賜物ともいえました。 ドライバーについては、マッサの成長が光りました。 シーズン当初はミハエルに大差があったのですが、シーズン後半にはほとんど同じ速さを見せるほどまで成長しました。 ラストシーズンとなったミハエルは、最終戦でも見事な走りを見せてくれました。 来年以降のフェラーリとの関係が気になるところです。 トヨタ 今年はチーム体制の不安定さがそのまま結果にも影響したようで、コンストラクターズ6位に沈みました。 F1最大の資金をうまく使えなかったようで、マシンを改良するとトラブル発生という悪循環に落ちこんだようです。 結果、表彰台獲得が3戦目の3位が一回のみという残念な結果でした。 このあたり、市販車を安定して高品質に造る事とは違った、限界ぎりぎりへの開発に対する考え方が出来ていない、という印象を強く受けました。 開発能力自体は高いものの、その開発力を生かす組織が出来ていないことが大きな問題のようです。 ドライバーは二人共同じような成績でしたが、これまでのトゥルーリにおける予選一発の速さは影を潜め、ラルフの安定した速さが目に付きました。 ウィリアムズ 今年はコンストラクターズ8位と、最悪の結果となってしまいました。 シーズン当初は、なんとかトップグループ゚についていけていたものの、開発が進まず中盤以降は低迷。 エンジン面でも、シーズン当初から20000回転超えとアナウンスされていながら、トラブル多発で失速。 BMWの独立で、資金・人材とも大きな損失だったようです。 唯一話題に上ったロズベルグは、序盤は光った走りを見せるも、中盤以降はチームの低迷とともに沈んでしまいました。 フランク・ウイリアムズの頑固な部分が人材確保に影響を与えているのかもしれません。 ホンダ 今年はコンストラクターズ4位と去年の低迷から、かなり復活してきました。 しかも、第三期のF!参戦として初優勝しました。 シーズン当初は好成績を残すも徐々に失速、シーズン半ばでチーム体制を一新。 これが利いて数戦後には、棚ボタとはいえ初勝利。 その後もマシン開発が波に乗って、終盤にはマクラーレンを抜いてルノーに迫るタイムまで回復していました。 ようやくホンダらしいチャレンジングなチーム作りが見えてきたようです。 ドライバーについても自身初優勝のバトンは、安定した速さに加えて、勝利以来勢いを感じるようになりました。 バリチェロも後半ようやくチームとミシュランタイヤに慣れて、バトンに準じるタイムまで上がってきていました。 レッドブル 今年はコンストラクターズ7位と、去年と同じ結果でした。 開幕前に強力な人材を確保したことで、後半での巻き返しが期待されましたが、来年のマシン開発が中心だったようで、今年のマシンの開発は進みませんでし た。 当初はフェラーリエンジンのマッチングに問題が残っていたようで、リタイアも多く、開発にも影響を与えたようでした。 ドライバーについても、クルサードは安定した成績を残していましたが、結果を残せないクリエンが途中降板、ドーンボスが代役で走るも、マシン開発が止まっ た終盤3戦のみではポイント獲得ならず。 開幕前から予想は有りましたが、マシン・ドライバー共に中途半端なシーズンでした。 BMWザウバー 今年はコンストラクターズ5位と参戦初年度にしては相当な好成績でした。 シーズン当初は中盤に埋もれていたものの、シーズン後半にはトップチームに迫るタイムまで開発が進みました。 奇抜な空力パーツもいくつか実践投入して、実戦でテストしつつ結果につなげるという、新規参入のチームらしい手法が上手く機能したようでした。 元々エンジンはF1最強の中の一つなので、マシンの空力の開発成果がストレートに結果に結びついたようです。 ドライバーについても、安定した結果を残したハイドフェルドを中心に、結果にムラが多いビルヌーブをシーズン途中で更迭、代役クビカがハイドフェルドを凌 ぐ程の成績で、デビュー3戦目にして初表彰台獲得と、シリーズ後半に向けて結果的に良いドライバー選択を行ったようでした。 ミッドランド(スパイカー) 今年はコンストラクターズ10位でした。 ジョーダン買収しての参戦初年度で、シーズン途中ですでにスパイカーに買収されました。 ほとんど開発が進まなかったようで、タイムも上がらずポイント未獲得。 トヨタエンジン自体も、今期はもう一つパワー不足だったようで結果にはつながらなかったようです。 ドライバーについても、このマシンでは結果の出しようが無かったとも言えます。 今年はコンストラクターズ8位と、最悪の結果となってしまいました。 トロロッソ 今年はコンストラクターズ9位でした。 レッドブルの去年型マシンで、エンジンも唯一3Lエンジンを使用、その結果、時にレッドブルのタイムを上回ることもありました。 マシンもエンジンも、ある意味反則とも言える内容なので、ミッドランドとスーパーアグリを上回ることが出来たようです。 ドライバーはリウッツィが唯一ポイントを獲得、久しぶりのアメリカ人F1ドライバーのスピードは、前半は不安定さが目立ったものの後半にはウッツィと変わ らないタイムを叩き出すまで成長しました。 スーパーアグリ 今年はコンストラクターズ最下位の11位と、少々残念な結果でした。 チーム結成発表から4ヶ月ほどでのF1参戦ですから、参戦すること自体すごいことでしたが、最終戦でのファーステストラップ7位と9位にも驚かされまし た。 もともと、シーズン中盤での新車投入予定が後半までずれ込み、その新車もモノコック自体は旧車(4年落ちの車体)のままという半端な形での参戦でしたので 仕方のない結果ともいえます。 ドライバーについても、ファーストドライバーの琢磨は安定していたものの、井出は4戦で途中ライセンス剥奪、モンタニーが7戦参戦、左近が残りの7戦と変 化が激しいシーズンでした。 変化が大きい1年だったので、経験値の上がり方も大きかったと思えるところが今年の大きな収穫とも言えそうです。 総論 今年は新しいチームが4チームと近年まれに見る変化が激しい年でした。 トップチーム争いではルノーとフェラーリの争いが最終戦までもつれ込むという混戦で、特に終盤のフェラーリは近年珍しくトラブル続きで、昔の速いけどトラ ブル連発のフェラーリ時代を思い出すような感じすらありました。 新しいチームではBMWザウバーのトップに迫るタイムまで開発が進んだことと、スーパーアグリの最終戦のタイムが印象的です。 また、ホンダがF1第三期初優勝、表彰台での初の「君が代」は、日本人としてもっとも印象的なレースでした。 2007年は今年のレギュレーションから特に大きな変更は無く、エンジン開発が停止されるので、これまで以上にマシンの空力の開発が大切になります。 また、各チーム間のタイム差が少なくなることが予想されるので、チームのセッティング能力や戦略が今まで以上に重要になりそうです。 ページトップへ 2006年ドライバー総観へ 2006年レース総観へ |
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