2007年 F1 TV観戦記 チーム総観
 
 
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最後まで熱い戦いが続いた、2007年のF1参戦チーム全体を振り返ってみましょう。


マクラーレン コンストラクターズ11位
実質は2位だったものの、スパイ事件でシーズン中の全ポイント剥奪という信じられない結果となりました。
シーズン当初はフェラーリと良いレースを見せ、さらにシーズン中盤にはチャンピオンシップを独走。

しかし昨年のチャンピオンであるアロンソがチーム内で孤立化し、チームクルーまで2分化するという異常事態にまで発展。
さらにスパイ事件で一旦無罪判定が出るも、アロンソの証言などでマクラーレンの有罪が確定すると、チームの状態が日に日に悪化していきました。
それでもレースでは好成績を残したのですが、終盤に至り連続リタイアや不本意な最終戦などで、実質のコンストラクターズ1位も逃しました。

マシンについては、去年のニューウェイのマシンを正常進化させたもので、フェラーリと同等の速さを備えていました。
特に1周の速さは圧倒的で、フェラーリを上回る速さを見せていたのですが、ロングランでタイヤに厳しいという部分が最後になって足を引っ張る結果となってしまいました。
チームの状況が厳しくなるにつれて開発にブレーキが掛かったようで、終盤はフェラーリに速さでも負けるシーンが見られました。

来季は毎レースFIAのチェックが入る上に、フェラーリから情報を得た技術が使用できない(つまりフェラーリを参考にした形が使用出来ない)為に開発面で制限が大きくなり、厳しいシーズンとなりそうです。


ルノー コンストラクターズ3位
アロンソの離脱でマシンの速さまでなくなってしまい、去年のチャンピオンチームが3位(実質4位)に終わりました。
ミシュランタイヤを前提に設計されたともいえるマシンで、シーズン前半はタイヤとのマッチングに苦労し、シーズン後半は来季の為に開発ストップという散々 なシーズンでした。
しかしチームの資金を考えると、3位という成績でも立派なもので、過去2年の成績が異常に良すぎたとも言えるようです。

ドライバーも高額なトップドライバーより、若く安いドライバーを選んだという点からしても、去年のF1撤退の噂を引きずっていたシーズンとも言えそうで す。
来季はドライバーも含めて本気でF1に取り組むことが出来るか否かで、成績が大きく変わりそうです。


フェラーリ コンストラクターズチャンピオン
2年のブランクを経て、フェラーリがコンストラクターズチャンピオンを獲得しました。
しかし、今年はステップニーゲートと呼ばれるマクラーレンのスパイ事件によって、マクラーレンのコンストラクターズチャンピオンシップからの排除という裁 定の上でのチャンピオンなので・・・。
と思いきや、ハンガリーでマクラーレンのポイントが無効だったので、−15ポイント。
それで計算すれば、マクラーレンは年間203ポイント、フェラーリは204ポイント獲得なので、ギリギリ実力で勝ち取ったとも言えます。
チームの勝利もマクラーレンを上回る9勝ですから、順当なチャンピオンといえそうです。

今年のフェラーリのマシンは、素性は良かったものの信頼性がライバルより若干不足し、シーズン中の風洞のトラブルもあって中だるみしてしまった点が、苦戦 を強いられた大きなポイントだったといえるでしょう。
さらに戦略面でも作業ミスやコンディションに対する不適応などが目立ったシーズンでした。
このあたりは、ロス・ブラウンを失ったマイナス面といえそうです。

それでもチャンピオンを獲得できたのは、マシンの良さとタイヤに対する経験のアドバンテージがあった事が大きいようです。
タイヤを上手く使えることで、一発の速さには欠けるものの、コンスタントな速さが目立っていました。
ランチコントロールは、シーズン途中まではマクラーレンに若干劣っていた感じもありましたが、終盤ではマクラーレンと同等以上のスタートまで改善出来たよ うです。
さらにシーズン終盤に向けて、マシンの開発が一気に進んだことも特筆できるポイントといえるでしょう。
今年のフェラーリは、チームのミスをマシンの良さでカバーしたといえるシーズンでした。
来季はミハエルがレースに来たときの、ライコネンの不調を改善することが急務かも?


ホンダ コンストラクターズ8位
シーズン前半ではスーパーアグリにすら後れを取るものの後半盛り返し、なんとか8位(実質9位)を死守。
といっても前年の3位から大きな転落で、ブリジストンタイヤへのマッチングに苦労したことと風洞実験結果の読み違いでマシン開発の根底が崩れたことが痛すぎる結果となったようです。

シーズン初期には去年のホンダのシャーシを使用したスーパーアグリのマシンにも負けてしまうほどの悲惨なマシンでは、部分的な改良を行なってもライバルに追いつくのは不可能でした。
来季以降については、新加入のロス・ブラウンに期待するしかないという状況でしょう。
(というより、大きく期待してしまいます)


BMWザウバー コンストラクターズ2位
2年目にしてコンストラクターズ2位(実質3位)は立派です。
3位ルノーの倍のポイントを獲得しているのですから見事と言えますが、優勝が無かった点が唯一残念といえるでしょうか。
今年はトップ2チームが強すぎて、全ての優勝を2チームのドライバーが分け合ったので、仕方ないところとも言えそうです。

エンジンの良さに加えて、コンサバともいえる空力デザインで安定感のあるマシンを作ったことが大きかったようです。
また信頼性が高く、コンスタントな成績を残せたことも成功の要因といえるでしょう。
弱点は、経験が少ないウェットレースでのタイムの悪さと、戦略が安全側でチャレンジングなレースが見られなかったことでしょうか。
ドライバー二人は、いつ優勝してもおかしくないレベルと思えるので、来季はチャレンジングな戦略を見たいものですね。


トヨタ コンストラクターズ6位
資金面ではF1でトップを争うチームですが、成績では真ん中の6位(実質7位)です。
コンサバティブなマシンの中にトレンドを取り入れたような、ちょっとコンセプトがはっきりしないところが苦戦した原因かもしれません。
コンセプトがはっきりしないというのはチームの体制にも当てはまり、チームリーダーの存在を感じないところがチームの弱さともいえそうです。

ドライバー選択でも、他の資金のあるチームに比べると弱く、チームに勢いを与える強いドライバーが切望されるところでしょう。
元々技術面では高いレベルを持っているはずなので、正しい方向性を見出せれば躍進が期待できると思うのですが、現状を見る限り、ちょっと時間がかかりそうに感じます。


レッドブル コンストラクターズ5位
良くも悪くもニューウェイ効果を感じるシーズンで、結果は5位(実質6位)。
時にはBMWに匹敵するほどのタイムを見せることもあったのですが、信頼性が無かった為に完走率は6割以下で、良いレースをトラブルでフイにしたシーンも 見られました。

マシン自体はニューウェイノデザインを引きずっているマクラーレンに似ているために、速いことは想像できます。
しかし、信頼性においてはまったく異なり、数年前の良く壊れたマクラーレンを思い出させる点は、悪い意味でニューウェイ色の強いマシンのようです。
来季は信頼性を確保できるか否かによって、成績が大きく変わってきそうです。


ウィリアムズ コンストラクターズ4位
トヨタエンジンを得て、厳しいチーム運営状況にもかかわらず、見事な成績でコンストラクターズ4位(実質5位)に再浮上でした。
今年のトレンドを上手く取り入れたマシンは、信頼性の問題が多少あったものの、コンスタントに速さを見せてくれました。
資金面を考えると立派な成績といえそうです。

弱点は戦略面で、ロングラン作戦など安全策ともいえる戦略を多用する傾向が強いことでしょう。
それが今期は たまたま好結果に結びついたシーズンだったとも言えますが、時にはアグレッシブな戦略も見てみたいものですね。


トロロッソ コンストラクターズ7位
レッドブルの現行型シャーシを得て、7位(実質8位)に躍進です。
しかしレッドブルを上回らないようなシャシー調整が行なわれているようで、レッドブルが上昇しない限り これ以上の成績は望めなさそうなところが一番の問題といえるでしょう。

またシャーシはレッドブルのルノーエンジンを中心に開発されているので、フェラーリエンジンには今ひとつ合わないという事情もありそうです。
信頼性もレッドブル同様で、こちらも完走率が6割を切っていました。
レッドブル自体の成績とレッドブルのシャーシを上手く活用できるか否かで、来季の成績が決まりそうです。


スパイカー コンストラクターズ10位
近年毎年名称が変わっているチームですが、コンパクトなチームをまとめるのが上手いマイク・ガスコインの効果でポイント獲得。
特にBスペックマシンを投入して以降、スーパーアグリと同等ともいえる速さを発揮しました。
来季は またチーム名が変わりますが、シーズン終盤の体制を見る限りでは、かなり期待できるかもしれません。


スーパーアグリ コンストラクターズ9位
去年型のホンダのシャーシが功を奏し、大躍進で9位(実質10位)を獲得。
代表の鈴木亜久里の入院にもかかわらず4戦目で初ポイントを獲得、6戦目ではマクラーレンを抜いての6位獲得と前半は見事な成績でした。

しかし、中盤以降はチームのスポンサー問題や資金不安が発生し、マシン開発も進まず、当面のライバルといえたトロロッソに抜かれてしまいました。
マシンが調子が良い時はクルーのピット作業も素早かったのですが、後半チーム状態が悪くなるにつれてピット作業にも悪影響が見られたのが余計に残念でした。
来季は安定したチーム運営とマシン開発の為に風洞が欲しいところでしょうか。


総論
今年はマクラーレンのスパイ事件がシーズン全てに影響を与えた、残念なシーズンになってしまいました。
レース自体は最終戦まで3人のドライバーが争うという歴史的激戦だったのですが、チーム争いとしてはマクラーレンの失格裁定直後にフェラーリのコンストラクターズチャンピオンが決定という、それまでのフェラーリとマクラーレンのチャンピオン争いがむなしく感じる、あっけない決まり方でした。

そんな中でも、前半のスーパーアグリの活躍や後半のレッドブルやトロロッソの活躍など、中堅以下のチームがシーズンを盛り上げてくれたといえそうです。
またマクラーレンの失格と同等以上に残念なのが、日本のトヨタとホンダの低迷です。
特にホンダは去年の3位から一気に8位に転落という、信じられない成績でした。

来季はトラクションコントロールの禁止とアロンソの移籍によって、大きく勢力図が変わりそうです。
リアタイヤのサスペンションとエンジンのコントロールのしやすさによって、成績が大きく変わることも予想されます。
昔から経験のあるチームが速いのか、トラクションコントロールがない状態を知らない新しいチームが速さをキープできるのか、2008年の開幕を楽しみに待ちましょう。




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